二十代も後半にさしかかってきたものの、昔から太り気味で標準体型と肥満の境目をうろうろしてきた私は、胸の発育も同い年の友人やクラスメートより早かったです。中学校に入学した頃には既にCカップまでありました。当時はまだブラジャーというとスポブラタイプのものを多く使っている人が多く、ワイヤーが入っているブラジャーを着けていると、体育の授業などで着替えをする時に物珍しげに見られたりもしました。身長は大して伸びなかったにも関わらず、バストサイズは着実に大きくなっていき、この成長具合が慎重にいったらな、などと思ったものです。

私の悩みは、バストサイズと衣類のサイズが釣り合っていなかったことです。胸のサイズが大きいために一つ上のサイズを選ばなければならなかったり、小さいサイズを選べば胸がきつくなる。制服のブラウスのボタンが閉じきれずに、買ったきりタンスのこやしにしてしまったりもしました。水泳の授業などでは、大きいサイズを選ぶと水着がダボつくのでは? と気が気でなく、選んだ標準サイズの水着でも胸が出てしまわないかどうか、不安になることがありました。

ショックだったのは、高校一年生の夏の頃。もともと私はおしゃれには無頓着で、リップさえ持っていないほどでした。高校生になると、スカートを折ったり、指定の色以外の靴下を履いていたり、うっすら化粧をしている校則違反スレスレの生徒もいるような校内で、私の格好は至って普通でした。自分は普通に制服を着ているのだから、まったく問題に思うことはない……と思っていたのですが、ある時友人から「下着が見えてるよ!」と指摘を受けました。制服の第二、第三ボタンの間が、ボタンを閉めることはできるものの、たしかによく見ればブラウスの下に何を着ているか分かるくらいの隙間が空いていました。

言われてからは、異性だけでなく同性の同級生からも変な目で見られているのではないと思いました。今にして思えば自意識過剰だったのでしょうが、こういった適性のサイズであるにも関わらず胸のせいで服が合わないというのは、高校のように着る服が規定されている環境の中では大変苦痛でした。胸を小さくしたいと思ったものの、テーピングなどで無理やり押し込んだり、矯正用の下着を買うと形が変わってしまうような気がしたので、身長には合わないけれど服のサイズを大きくすることにしました。そうすると、今度はブラウスの裾を入れ忘れると盛大にはみ出してしまったり、袖が少し余るという始末。着丈の数センチメートルの差を侮っていました。これで周囲の評価が共通して「だらしがない」になるのですから、踏んだり蹴ったりです。クラスメートの会話に合わせるために、ブラジャーのサイズを小さく申告したこともありましたし、小さくて悩んでいる子の相談に乗ったときなどはとても良心が痛みました。特に私の周りはバストが小さくて悩んでいる子が多かったので、辛かったです。

中高時代は自分のバストには恨みしか感じていませんでしたが、年を取るにつれて人並みにおしゃれをしようと思うようになり努力した結果、バストや服のサイズはあまり重要ではないという結論に至りました。わざと胸を強調するような服を着る必要はないけれど、体型に適した服を選べば様になって見えます。昔はバストが大きいと地味なデザインのブラジャーしか選べないという偏見もありましたが、まったくそんなことはありませんし、下着売り場でもEカップやFカップのかわいいブラジャーとショーツのセットを見かけることも多くなりました。一回り大きめのサイズを買うなんて、デブと思われるのでは? と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、手軽に隠せるようになるのでオススメです。