生まれつき地黒だったので、肌の色については幼い頃からコンプレックスがありました。特に、思春期に入って身体の変化も著しくなる小学校高学年あたりからは、乳首の色が濃いことがかなりのコンプレックスでした。修学旅行でクラスの女子全員で露天風呂に入ったときには、周りの女子の乳首の色が自分よりもはるかに薄くてピンク色をしていたことにショックを受け、恥ずかしくて自分の胸をタオルで必死に隠していたのを覚えています。自分の乳首は、友人に比べて黒ずんだ干しブドウみたいだと思い悲しくなりました。

自分のおっぱいを周りに見せる機会は、小中学校では全くなかったのですが、高校に入ってからは周りの友人が更衣室でおっぱいを見せ合いっこしている時などは、その輪に入らないようにしたい、おっぱいに関する話題などを避けるように努めていました。大学に入って、初めて深い仲になる彼氏ができたときには、セックスのときに自分の乳首の色をどう思われるのか不安でたまりませんでした。できるだけ、乳首の色が目立たない暗闇でイチャイチャするようにしていたのですが、あるときに明るい部屋の中でセックスをする雰囲気になり、その時に彼に至近距離で乳首を見られてしまいました。「わ、黒いー!」その時の彼の発言を一生忘れません。彼の方は悪気はなく、驚いてついポロリと言ってしまったんだと思いますが、私にとってはとてもショックで深く傷つきました。その後、その彼とロマンチックな雰囲気になるのが嫌で嫌で、結局別れてしまいました。

私は、顔は結構可愛い方で、男性の方からアプローチされることも多かったのですが、付き合っても性行為がトラウマになって、深い関係になる前に別れてしまうということが続きました。誰も、自分のありのままの姿を受け入れてくれないだろうというビクビクした気持ちと悲しみが恋愛にはいつも付きまとっていたように思います。

そのような中、ある時、市内にある美容整形外科の広告を目にしました。キャッチコピーに、乳首の色を薄くできるというようなことが書かれていたので、藁にもすがるような思いで、その美容形成外科を訪れてみました。そこで初めて、自分の乳首の色に対するコンプレックスについて話をしてみました。これまで誰にも自分の身体の悩みについて話したことがなかったので、とても勇気のいることでした。そこのドクターには、生まれつきの地黒の方が色白の方のようなピンクの乳首を手に入れることは難しいが、処方するクリームを使用することで乳首の色を薄くすることはできると言われ、初めて希望が持てました。毎日、クリームを乳首に塗布することを2ヶ月ほど試してみたのですが、あまり効果は感じられず、クリームの値段も高価であったため断念。結局、乳首の黒い自分のままでした。

そんな時に出会ったのが、新しい彼。その彼は、これまでに出会った男性とは全く違ったタイプの人で、「人はそれぞれ違っていて当たり前。違うことが逆にいいことなんだ。」という価値観の人でした。それは身体に関しても同様で、私の乳首の色を他の女性と比べてコメントすることは一切ありませんでした。逆に、胸の大きさやお尻の形がキレイだとよく褒めてくれ、その彼と一緒にいる中で、私の方も自然に乳首の色に関するコンプレックスを忘れてしまいました。結局その彼とゴールインすることはありませんでしたが、その後、似たような価値観の男性と出会い、今、幸せに結婚生活を送っています。私にとっては、乳首の色に関する悩みは幼いころからの一番大きな悩みでしたが、自分のことをありのままに受け入れて大切にしてくれる相手と出会えたことで、そのコンプレックスを解消することができました。