22歳女性です。現在はデザイナーをやっております。

骨折した時期は11歳ごろ。まだ小学生でした。あの頃は廊下の壁を使い大の字になってよじ登るロッククライミングごっこをよくしていました。落ちても大丈夫なように、下に座椅子やクッションを敷いていたのですがポーズを決めながら着地した位置がクッションからズレていて、右手首の少し下側を複雑骨折してしまいました。

外部から見ると腕がグニャグニャというか、凹凸に折れ曲がっていました。が、泣くほど痛いというわけでもなかったです。でも、母が今から出かけてしまうのでこの状態で置いていかれないよう、気づかれるように泣きました。母は慌てていて、そのとき母と一緒に居た男性は木の板をノコギリで切って腕の支えを作ってくれました。今思うとその男性は母の浮気相手だったんだなと思うけど複雑ですが、とても助かりました。

病院につくとお医者様に、まず折れ曲がった腕をその場で力任せに引き伸ばされました。これは流石に痛かった、、、というよりもビックリました。これが私の駆け込み初診でした。後日、手術もしました。費用は15万ほどかかった記憶があります。腕の骨が離れていたので銀の金具を腕に差して骨を固定しました。手術した日の夜は流石に痛すぎて、ずっとソファの上でのたうち回り寝ることが出来ませんでした。

数日後ギプスに挟まれた腕を見て私は「ホットドッグみたい」と呑気に言いました。看護師たちは皆笑って、「面白いお子様ですね」と褒められた記憶があります。なんだかんだ痛かったり残念なことばかりでしたが、子供だったからかケロッとしている…というか流暢だったなとも思います。

私はその時期ピアノを習っていました。発表会やコンクールには毎年お誘いしてもらえていたし、先生からの信用もある真面目な生徒でした。右腕を骨折したときもやっぱりピアノが大好きだったので左手だけで練習したり、こっそり手をグーパーしてリハビリしたり出来る限りの努力をしていました。そのおかげなのかコンクールを蹴ること無く参加でき、しかも賞を頂くことも出来ました。これはいい思い出になりました。

子供だったからか1-2ヶ月での完治でしたが、やはり1番困ったことは文字の書きでした。右利きだったので宿題がとても大変でした。必死に練習して左手で文字を描けるようになりました。絵も好きだったので左手で絵をかけるようにもなっていました。でも不幸か幸いか、骨折から完治までの間はほぼ夏休み中でしたのでまだ助かりました。夏休みはあまり満喫できなくて少し残念でしたが、、、。もし通学期間だったらと思うと勉強が遅れていたのではないかとゾッとします。

完治する頃には腕に刺さっている「骨を固定する針金」をどうやって抜くんだろう?と疑問に思っていました。しかしその疑問はすぐに終わりました。定期的に行っていた病院で、お医者さんが予告なしに目の前で私の腕に刺さっている針金を抜いたのです。てっきり麻酔をして手術で抜くものだと思っていたので面を喰らいました。本当に痛かったというよりもびっくりした記憶があります。お医者様は少しだけ出る血を淡々と拭いていました。そこまで痛くない事にもびっくりしたような気がします。駆け込んだ時もそうでしたが案外、無断で強引な事をするもんなんだなあとショックでした。でもその強引さは治療に必要だったのかもしれないなと今になっては思えます。いまから施される治療方法を聞いて怖がったり、痛みを想像して勇気が出ず怯えるよりも覚悟をする前にいきなりやられたほうが精神的に楽な気がするからです。それに、痛かったのは結局手術後の数日ぐらいだったし完治も早かったので尚更そう思います。患者の治療のため恨まれ役を買って出るお医者様を尊敬します。