わたしは今は35歳の会社員です。

子供のころに骨折を三回ほど経験しました。激しいスポーツ部に在籍していたのですが、なぜかそのときは骨折はしていません。30歳のころに骨折しました。右の肘を複雑骨折しました。そのときは、引っ越しの準備をしている時でした。実家から一人暮らしをするための引っ越しの準備でした。一人で、荷物を準備して自分の2階の部屋から勝手口を通って車に荷物を運んでいました。その勝手口というのが、かなりの段差がありました。その段差のとても不安定なところに台があるのですが、その上を踏んで外に出てさらに段があるというかんじでした。

洋服をたくさん入れた大きい衣装ケースを二階からおろし、大きな衣装ケースを持ち上げながら、その不安定な台に足を乗せた瞬間グラッグラッとからだが傾いてしまいました。そのときに、衣装ケースを放り投げてしまえばよかったのですが、なぜか衣装ケースを死守しなければ~と思い、衣装ケースを庇いながら自分がさらに先の段差まで飛んでいき、まさかの手をついてしまいました。そのとき私の右肘は、漫画のように「バキッ」と言いました。そのとき通りかかった近所の人に

「大丈夫?」

と言われましたが、恥ずかしさのあまり笑いながら

「大丈夫です」

と言っていたのを覚えています。じつは、その時に母もいたのですが、私の引っ越しに快く思っていなかったために別の部屋にいました。しかし、さすがに大きな音に母も気づき

「どうしたの?」

と言われました。そのとき、多数の骨折経験者の私は冷静に「骨が折れた」と言いました。母のほうが動揺し、片手しか使えない私が電話帳を開き(診療時間外だったため)近くの救急の外科に電話しました。そして、携帯でタクシーを呼び母と病院に行きました。それから、レントゲンをとりました。複雑骨折をしているために手術をするが、今日はできないので休みあけに手術しましょうということになりました。手術を担当してくれる先生は誠実そうな安心できる先生でした。

先生に、いろいろと説明されて手術のがはじまりました。わたしはお酒が大大大好きです。なので、もちろん晩酌も毎日欠かさずしていました。まず、手術のために全身麻酔をします。わたしの記憶では直ぐに意識が無かったのですが、手術が終わった後先生に

「なかなか麻酔がかからなかったよ」

「ずっとしゃべってた」

と言われました。お酒を飲みすぎた時も、よく記憶がなくなっても周りの人には

「全然酔っぱらった感じじゃなかったよ~」

っと言われていました。手術のときにも同じ現象が起きたようでした。手術が終わって、入院が2週間ほどだったのですが、この間がとても苦痛でした。入院した部屋は6人部屋しか空いていなくて、周りが皆高齢のかたばかりでした。どうしても相部屋だと、声やいびきがうるさく私はほとんどヘッドホンをして音楽を聴いていました。排せつなどもトイレに行けない方がいて、食事中に匂いが気になって食欲はあまりなくなりました。そのため、退院したときには今まで履けなかったジーンズが履けるようになっていました。これがまさしく怪我の功名でした。大きい病院で手術したのですが、退院後は家の近くのリハベリのできる整形外科に通うことになりました。最初は全然動かず、「このまま動かなかったらどうしよう」という一抹の不安を抱えながら、週三回ほど痛いリハベリを通い続けました。そして半年くらいでやっと、普通の生活には支障がないくらいまでになりました。しかし、いまでも肘を骨折した為に、カギを回したりと細かい動きがしにくい事があります。全然動かなかった肘が動くようになり手術をしてくださった先生とリハベリの先生にはとても感謝しています。